わたしたちの日本語クラスにやって来る学習者のうち、とくに十代のかたは日本のアニメーション(アニメ)をよくご覧になっています。最も人気があるのは『ワンピース』。登場人物ではゾロが好かれています。

 日本のアニメを見ることは、日本語の学習にも有効に作用します。

 先日もある問題をやっていたら、「暫く」という言葉が出てきたので、ついでに歌舞伎の『暫』について学習者に説明しながら(強い人が「しばらく」と言いながら出てきて、悪い人を倒す…程度の説明ですが)、見得を切ってみせると、

学習者:それ知っています。見ました。

講師:『ワンピース』ですか? 「ワノ国編」?

学習者:はい。

といった具合です。

 もっとも筆者は『ワンピース』がスーパー歌舞伎になったことは知っていますが、原作の漫画やアニメの「ワノ国編」にどのようなかたちで『暫』の表象が採り入れられているのかは知りません。ひょっとしたら、『暫』に特定されない、歌舞伎一般に見られる表象かもしれません。

漫画の『ONE PIECE(ワンピース)』は、日本を含め世界中のさまざまな物語のエキスを抽出した濃厚スープのような作品ですが、その「キッチュ Kitsch」な面がアニメではより強調されているように思われます。

 さて、『ワンピース』にはウソップという人物が出てきますが、そのヒントになったキャラクターはだれだと思いますか?

 鼻が高いからピノキオ?

わたしは1981年公開のオーストラリア映画『マッドマックス2  Road Warrior』(ジョージ・ミラー監督)のジャイロ・キャプテンに注目します。

 腕力はないものの口が達者で、妙ににくめない強盗。なにより飛行帽にゴーグルを身につけた姿がウソップを連想させ、主人公のマックスの英雄的な働きがなぜかキャプテンの功業になってしまうところも、ウソップ的展開。

 キャプテンを演じたのはニュージーランドの俳優ブルース・スペンス Bruce Spence(1945‐ )。『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 Star Wars: Episode III - Revenge of the Sith 』(2005年公開)や『ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島 The Chronicles of Narnia: The Voyage of the Dawn Treader 』(2010年公開)などに出演しているので、その印象的な風貌を覚えているかたもいらっしゃるのではないでしょうか。

 ちなみに、『マッドマックス2』は『北斗の拳』をはじめ、日本の漫画に絶大な影響を与えました。『ONE PIECE(ワンピース)』の連載が『少年ジャンプ』誌上で開始されたのが1997年7月22日。作者 尾田栄一郎もきっと映画を見て、ウソップ「創造」のヒントを得たのではないかと「想像」します。