井上安治が眠る寺
 明治時代の著名な版画家 小林清親(1847-1915)に、井上安治(1864-89)という弟子がいました。
 眺めると心が澄み渡っていくような東京風景を描いた版画を残して、25歳で早世しました。
 この安治にひかれた漫画家 杉浦日向子(1958-2005)は、『YASUJI東京』(ちくま文庫)という作品を描いています。安治の版画を通じて、新旧の東京と自身との距離を、じっと静かに測っているような漫画です。
 彼女もまた、42歳の若さで亡くなりました。
 井上安治は東京浅草の生まれですが、父親が川越の出身だった関係で、今は川越の行伝寺*にお墓があります。
 わたくしはまだお参りしたことがありません。安治が葬られている「井上家類題之墓」の石碑には、小さく「井上探景ノ墓」と刻まれているそうです。「探景」は、風景画を得意とした安治の画号でした。
 安治の作品は川越市立美術館にも収蔵されています。
*行伝(傳)寺の住所は川越市末広町2-4-2。井上家の墓にお参りするには、事前に寺に連絡して、承諾を得る必要があるでしょう。