
アボガドをときどき食べたくなります。少し高めのポン酢をかけて。
その話をベトナムとフィリピンの学習者のかたにしたら、おふたりとも、アボガドには砂糖をかけて食べるとおっしゃいます。
うーん、砂糖か。
そこで思い出したのは、日本でまだグレープフルーツが高級な輸入品だった頃のこと。果実をナイフで二つに割り、切断面に砂糖をかけたのち、スプーンで果肉をすくって食べるやりかたがありました(実は今でもあります)。当時は多くの日本人がこの食べ方を採用していたと記憶します。
三島由紀夫の遺作『天人五衰』(「豊穣の海」四部作の最終巻。雑誌「新潮」1970年7月号から1971年1月号に掲載)では、砂糖こそかけていませんが、主人公がこの食べ方をしています。
「透はこの家へ来て毎朝輸入物のグレープフルートの、薄い彎曲(わんきょく)したナイフで振り分けた房ごとに、匙(さじ)ですくって喰べる贅沢(ぜいたく)な娯しみを知った。それは能(あた)うかぎり芳醇(ほうじゅん)な果物で、軽い苦みを帯びた白っぽいつややかな果肉に、無礼なほど夥(おびただ)しく仕込まれた果汁が、熱を含んだものうい朝の歯齦(はぐき)を押しゆるがした。」(『天人五衰』新潮文庫、173ページ)
インターネットで検索してみると、日本に輸入され始めたばかりのグレープフルーツはまだ酸味が強く、砂糖をかけないと食べられない人が多かったようです。その後、品種改良を重ね、砂糖をかけなくても食べられる甘さになったとか。
三島は、まだ酸っぱかったグレープフルーツ(ト)が、その酸味も含めて好きだったのかもしれません。
一方、もともと酸っぱくないせいか、アボガドに砂糖をかける食べ方のほうは、まだ日本に広まっていないようす。
とはいえ、ベトナムとフィリピンだけではなく、スリランカでも砂糖をかけて、スイーツとして食べられているとのこと。同じサイトに、アボガド+蜂蜜+ヨーグルトという組み合わせも挙がっていました。
アボガドに砂糖をかける地域がどのくらいあるのか、機会があったら、ほかの学習者のかたがたにも聞いてみたいと思います。



